おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテ

佐渡ヶ島にある”おもちゃ病院さど”で診療しているドクターRです。私が担当した患者さんの治療記録の一部です。島内での開院予定や島外から受診をご検討の方は、”お知らせ”をご覧ください。

お知らせ

 

                   (出典:佐渡国際トライアスロンHP)
                                             

【開院予定】

毎月第一日曜日 

     13日  佐和田中央会館 佐和田児童クラブ遊戯室

      10:00~12:00(診療受付  10:00~11:30)

      2026佐渡国際トライアスロン大会のため、開院日を変更します。

      お気をつけください。

 

毎月第三土曜日

     9月19日  金井コミュニティセンター 2階会議室

       9:30~12:00(診療受付    9:30~11:30)

 

【助成を頂いています】               

      2026年度 佐渡市共同募金委員会

 

【来院時のお願い、治療対象のおもちゃと治療費について】

 1,来院時にお持ちいただきたいものと確認事項

    ・未使用の電池で動作の再確認

    ・おもちゃの説明書や書かれた外箱

    ・動作確認に必要な付属品

    ・物理的な破損の場合は、破片

    ・未使用の電池

    ・充電式のものは、充電器

    ・メーカー保証期間中のおもちゃは、メーカー相談窓口に連絡してみて

     ください。状況によりますが保証期間を過ぎても無償や有償交換を

     してくれる場合あり、おもちゃ病院で手を加えてしまうその後の

     メーカー対応を受けられなくなります。

     特に最近液晶の付いた本物と変わらないような ”スマホ”、”PAD”などの

       おもちゃが増えてきています。これらは、おもちゃ病院での治癒率は

     限りなくゼロと思って下さい。メーカーに送っても新商品と交換と

     なることが多いと思います。

     必ずメーカーにご相談の上、対応が不可とのお返事の場合だけ ”年末

      ジャンボ宝くじ1等に当たるといいなぁ” くらいのお気持ちで来院く

      ださい。

      おもちゃ病院では、治療可能な病巣であって欲しいとかすかな望みを

      抱い検査、治療をいたします。治療が出来る確率は低いですが、

      決してゼロではないので是非ご来院ください。

 2,治療をお引受け出来ないもの

    ・おもちゃではないもの

    ・エアガン,ガスガン,電動ガン 

    ・浮き輪,浮き袋,プール

    ・AC100Vに直結するおもちゃ

    ・リチウム電池の交換

    ・法的に規制のあるもの

    ・骨董的、工芸的な価値のあるもの

    ・営利目的の治療

    ・オークション、フリーマーケットサイトなどでジャンク品として

     購入されたおもちゃ

 3,治療費

    ・治療作業は、無料です。

    ・治療に必要な部品、材料費はご負担下さい。

 

【ドクターを募集】

 おもちゃドクターになって治療をしてみようと思う仲間を募集しています。電子工作、ものづくり、子どもの頃からものの分解、改造が好きなあなた、そうあなたを待っています。

開院時にお声がけ下さい。

          

【献体のお願い】

 

 動かなくなったり壊れてしまったら是非受診して、子ども達とおもちゃの笑顔を取り戻しませんか?。動かないからと、買い換えたり、処分する前におもちゃ病院に足を運んでみませんか?それからでも、処分は遅くありません。

 もし電池で動くおもちゃを処分されるようであれば、動かない状態でも構いませんのでおもちゃ病院に献体していただけませんか?。再び子ども達と遊べるように命を吹き込んだり、部品を再利用させていただき今後の治療に役立たせていただきます。

 

【島外からご相談や治療依頼をお考えの方】

 ・メーカーから対応はできないと言われましたか?

 ・近くにおもちゃ病院がありませんか?

    下記のホームページからも探せます。

    全国の病院リスト | 日本おもちゃ病院協会 (toyhospital.org)

    なければ、お住まいの役所、社会福祉協議会に問い合わせてみて

    ください。

    協会に所属せず活動している病院もあります。

 ・近くのおもちゃ病院の開院日時が合わずに行けないのですか?

 ・近くのおもちゃ病院で治療ができないと言われましたか?

 

 ご相談や治療依頼をお考えの方は、下にある”コメントを書く”に

  ・お名前

  ・おもちゃ名

  ・病状

  ・都道府県名

  ・連絡先のメールアドレス

 を記入して下さい。コメント内容は公開されませんのでご安心下さい。

 こちらから、連絡先のメールアドレスに折り返しご連絡を差し上げます。

 

入院治療を希望される場合 

 ・往復の送料をご負担いただきます。

 ・輸送業者は、ヤマト運輸か日本郵便をご利用願います。

 ・治療のための部品、材料費をご負担いただきます。

 ・治療作業は、無料です。

 ・営利目的の治療はおこないません。   

 ・電池が必要なものは、未使用電池の同梱をお願いします。

 ・充電式のものは、充電器の同梱をお願いします。

 ・動作確認に必要な付属品がありましたら、同梱してください。

 ・取扱説明書がありましたら、同梱してください。

 ・治療内容をこのブログに掲載させていただくことがあります。

 ・心苦しいですが、必ず治療できるとお約束はできません。

 ・趣味の範囲の治療なので、以後の動作の保証はできません。

 ・万が一何らかの事故が発生した際、事故の原因が修理に起因していても、

   いかなる賠償などの責任も一切負えません。

 ・往復の送料が無駄にならないように、詳しく病状をお聞きしてから治療を

  お引き受けするかを相談させていただきます。

    購入年(おおよそでも構いません)

    思いあたる発症のきっかけ(有りましたら)や発病までの経緯

    過去のおもちゃ病院での治療歴、カルテ(有りましたら)

    試していただきたいこと

    画像、動画の送付

  などお願いする場合もあります。

 ・入院期間は、病状の確認可否、交換部品の在庫の有無、発注部品の納期、

  部品作成期間、定例開院での入院患者さんの混み具合によって変わります

  が、1ヶ月前後を見込んで下さい。

    病状により治療が長引く事が予想される場合、完治出来ない場合の治療

  目標などもご相談しながら進めたいと思います。

 持主さまとドクターとの信頼関係の上に成り立っています。

 お約束できることは、経験、技量の範囲で最善を尽くします。

 笑顔がひとつでも増えればと願って治療をしています。

 

 

障がいのあるこども達の遊びを応援します。

おもちゃ病院さどでも、”障がい児の遊び支援活動”を始めました。

【目標】

障がいのある子どもたちに、自分自身でおもちゃで遊ぶ楽しさと喜びを感じてもらえること。

 

【対象となるおもちゃ】

・電源スイッチを入れると繰り返し動作をするおもちゃ

  多くの場合、機械的なスライドスイッチで状態維持をするスイッチです。

  (トグルモード)

 

・電源スイッチを入れて、機能スイッチを押すと特定の動作を始めて終了するおもちゃ

  多くの場合、プッシュ型の一時的にONをさせるスイッチです。

  (モーメントモード)

 

・うたえほんのような複数の機能スイッチがあるおもちゃ

  (モーメントモード)

 複数のスイッチから1つをセンサー1つで選択できます。

 専用回路を付加して、スイッチ部にLEDを設け順次点灯させます。選択したいスイッチのLEDが点灯したタイミングで、センサーをONにすることで選択ができます。

同様なおもちゃにも対応ができます。

 

【支援内容】

市販されているおもちゃのスイッチの操作がしづらい子どもたちに、ご相談の上身体の可動範囲に沿ったスイッチの選択をお手伝いします。

全体のイメージです。

 

おもちゃから引き出す配線には2種類の動作モードが求められます。

・センサーがONしている間引き出し線が導通状態になる。(モーメントモード)

・センサーがONする度に導通、非導通状態に交互に変わる。(トグルモード)

その動作を切り替えられるモード切替BOXを設けます。これにより汎用性が広がりいずれのタイプのおもちゃにも、モード切替BOXが1個あれば対応ができます。

 

センサーには、いろいろ考えられます。現在までに試作したセンサーは次のものです。

 

 

 

有線式、無線式のモード切替BOXをご用意しました。これにより場所を動かないおもちゃと動きまわるおもちゃに対応できます。

 

 受信器BOXをおもちゃに背負わすと、動き回るおもちゃでもケーブルに影響されずに楽しむことが出来ます。受信器BOXはマジックテープでおもちゃに固定します。

 

ご関心がありましたら、まずは

    障がい児の遊び支援活動 | 一般社団法人日本おもちゃ病院協会

のリストからお近くに対応しているおもちゃ病院がないか探してください。

 

お近くに支援活動をしている病院がない場合は、下にある ”コメントを書く” に

  ・お名前

  ・おもちゃ名

  ・どのスイッチを操作したいか

  ・お住まいの都道府県名

  ・連絡先のメールアドレス

をご記入ください。センサーの種類、形状などについてご要望をお聞かせください。

おもちゃを改造するための往復の送料、部品、材料費はご負担ください。

なおコメント内容は公開されませんのでご安心ください。

こちらから、連絡先のメールアドレスに折り返しご連絡を差し上げます。

 

スペースクルーザーすすむくん が来院しました。

【申告】

 子供に購入したものです。動かないのですが孫に使えるようになりますか?

【診察】

 身元調査からです。本来の姿はと言うと次のものです。

 TOMYから1980年代前半に発売された”スペースクルーザすすむくん”という乗用おもちゃです。当時かなり高額なものだったようです。

 機能は、以下のようです。

 ・ダブルレバー操縦システム

  ハンドルではなく、操作部上部に設置された2本のコントロールレバーで操作します。左右のレバー操作によって、前進・後進だけでなく、その場での旋回など戦車やロボットのような本格的な機動が楽しめ、前面の赤い目も光ります。

 ・サウンド&マイク機能

  操作部横には専用のハンドマイクが装備されています。マイクを使って声を拡声したり、サイレン音や宇宙船風のSF効果音を発音させることができます。

 ・連動する大型アーム

  機体前方には大きな赤いロボットアームが伸びており、アームの開閉や上下可動する迫力あるスタイルです。

 

 どうやら40年ほど経過しているようです。

 外観を確認すると操作上部に設置された2本のコントロールレバーがありません。それ以外は大きな破損や欠損はなさそうです。

 

 鉛蓄電池は交換しなければなりませんが、その前に電圧を加えれば動くかを確認する必要があります。

 座面を開けて、鉛蓄電池を取り出します。

  

 鉛蓄電池は、12V4hAのものでした。ヒューズの切れはありませんでした。

次に内部の様子を確認します。

  

 駆動方法は、後輪の個別駆動です。旋回時には左右の駆動輪が逆方向に回転してその場で方向変換するような動きをするようです。前輪は自在キャスターが付いているだけです。

 

 電源スイッチが固くて動きづらいです。接点復活剤を吹きかけスライドを繰り返し、スムーズに動くようにしました。

 底板を外して内部を確認すると、鉛蓄電池からの配線に異常はなさそうなのでユニバーサル電源を接続してみます。

 2本のコントロールレバーを操作すると、駆動輪は動くようです。

 マイクの切り替えスイッチも固く動かない状態です。マイクの反応はありませんでした。機能的には、マイクと3種類のサイレン音や宇宙船風のSF効果音がするとか。

  

 切替スイッチの金属部分がさびが目立ちます。分解してメンテナンスです。

 

 

 プッシュスイッチは、M字型の金属板を押すことで固定接点に接する構造です。このM字の金属板が変形していましたので形を整えました。

 元に戻して操作すると拡声機能とギミック音が3種類鳴ることが確認できました。残念ながら音が正しいのかはわかりませんが、基板にあるトランジスタはすべて破損はしておらず、音の違いがあるので良しとします。

 

 ロボットアームの検査です。開閉動作と上下動作をします。開閉動作は正常に動きましたが、下方向には動きますが上方向にはモータ音はしますが動きません。アームのギヤボックスを調べなければなりません。

 アームを外した付け根部分です。

 アームの付け根はバネで引っ張られていてアームが開いている状態が無負荷状態で、これにアームを開閉するために開閉リンクが出入りしてアームの開閉状態を変える仕組みです。

 さらに、アームの駆動ブロックを取り出し分解していきます。

 

 アーム駆動ギヤボックスを開けると、開閉、上下駆動駆動モータがありました。

 上下駆動ギヤボックスを検査するとモータのピニオンギヤが割れていました。アームを上にあげるので負荷が掛かるので止むを得ないと思います。交換しました。

 概ね動きを確認できました。前面の赤い目も前後進すると光るようです。

 

 次に破損したと思われる2本のコントロールレバーの造形です。3Dプリンタにてレバーを作成しました。

    

 操作部レバーの接点も検査、清掃をしたかったのですが、操作部がネジと爪で固定されておりネジは外せましたが、爪が固く勘合しており年数も経っていましたので、無理に開くことは避けました。

 

 動くことが確認できましたので、鉛蓄電池を購入して交換しました。

 さらに、付属されていた充電器はトランスと整流回路程度のものらしく、鉛蓄電池を充電させるには電圧値も低く、今後の充電の使い勝手も考慮して充電器も購入しました。本体のDCジャックに合うようにプラグを購入した充電器のケーブルに接続しました。

Amazonで購入した スーパーナットBGーGM12-V と言う商品です。

充電動作も確認して退院です。

 

【治療後記】

40年ほど経過しているおもちゃでしたが、再び遊べるように治療ができ良かったです。

今回操作部内部を確認することができず、レバー部接点のメンテナンスができませんでした。レバー部の動作に異常が起きないことを祈っています。

 

もっとなかよしロビジュニア が来院しました。

【申告】

 2年前に入院して全快して元気におしゃべりしていましたが、電源が入らなくなりました。電源スイッチが、スカスカって感じで引っ掛かりを感じません。物理的に電源スイッチが故障したかなという感じです。

 以前は、24h電源入れっ放しでしたが、稼働が多いと故障のリスクも高まるので、前回治療以降は夕方から寝る前までの短時間稼働としていました。

 前回修理箇所が劣化したという事はないと思うのですが。

 

【診察】

 関東地方からの来院です。前回は、両腕のモータを交換して全体を点検して退院しました。

 

 さっそく電源スイッチを入れて様子を診ました。

電源スイッチを入れても、頭の初期動作をしません。背中のボタンでリセットすると動き出しましたが、頭部の左右のスウィング動作はせず旋回動作もしたりしなかったりです。

 目のLEDは発光します。

 おしゃべりもします。

 そのまま観察すると、両腕を動かし始めました。おそらく頭部の初期動作ができなく、タイムアウトして腕の初期動作を始めたものと考えられます。タイムアウトまでの時間が長いために、電源スイッチを入れても動かないと思われたのでしょう。

 内部を診ていきます。

 

 申告にありました電源スイッチを確認しました。スイッチの開閉動作は、導通を確認する限り問題はありませんでした。

 

 

 この電源スイッチは、接点がシーソーのように動いて開閉動作をします。接点の酸化膜を除去して、接点復活剤を塗布しました。今回の病巣ではありません。

 

 頭部を検査します。

モータ配線がコネクタの接触子部根元から断線していました。これでは、頭部はスウィングしません。

 接触子を圧着しコネクタに挿入しました。

   

 これで左右のスウィング動作をするようになりましたが、時々カタカタ音がします。

  

 左右スウィング原点スイッチの配線切れはなかったので、スイッチを開いて内部の接点を掃除し、接点復活剤を塗布しました。これによりカタカタ音は治まりました。

 

 次に旋回モータを検査しました。

ユニバーサル電源を接続して、動作を確認すると旋回動作をするときに過電流が流れます。ブラシに不具合が起きていると考えられ、ブラシを確認するとやはりブラシが摩耗していました。

  

 モータを交換して過電流は流れなくなりましたが、まだ旋回をしたり、しなかったりです。

 

 旋回機構部の周回ギヤを検査すると、割れていることが確認できましたので交換しました。

  

 周回動作原点スイッチも開いて清掃、接点復活剤を塗布しました。

 お近くの患者さんであればこれで退院なのですが、スウィングモータのブラシが今回摩耗して交換しましたので、再来院旅費、予防保全として旋回モーターも交換することにしました。これでまた数年はモータはもつものと思われます。

 

【治療後記】

 経過観察後に退院します。

 

【おまけ】

 ちょっぴり制御のお話しをします。

 車の運転をして停止線で止まることがあると思います。この時意識していませんが制御として動作を考えると次のようになります。

 目で停止線の位置を確認します。併せてブレーキペダルを踏んで減速していきます。そして停止線の位置と車の速度と制動力を繰り返し考えながら、停止線で停車します。

 この時何をしているかと言いますと、目で常に停止線の位置になったか否かを確認しています。これが思考プログラムです。

 

 おもちゃの場合もモータで所定の位置で止めるには、センサーからの信号の戻りを待ってモータを止めます。ところが、センサーが故障したり、ギヤが空転などセンサーの信号が戻ってこないとモータは目標の位置まで達していないと回り続けます。

 センサーの信号が戻って来ないと、構造的動作限界までくるとカタカタ音(破損防止のためにトルクギヤが空転する音)が鳴るか、動かない状態になります。

 カタカタ音が鳴るときは状態がわかるのですが、静かにしていると動かないと思ってしまいます。プログラムはセンサー信号が戻ってくるのを待っているのですが、もし待ち続けるとどうなるでしょう?人はおもちゃが動かないと思うでしょうし、他のスイッチなどの操作もできない状態になったりします。

 そのため、プログラムは一定時間経過(タイムアウト)してもセンサーからの信号が戻ってこない場合は次の動作に移ります。これにより操作不能状態を回避できます。

 タカラトミーが販売している、夢の子シリーズやこのロビジュニアシリーズもこのようなプログラミンがされています。

 

ミニ マリオカート マリオが来院しました。

【申告】

 前後は動きますが、曲がりができません。

【診察】

 前輪が右には操舵できますが、左には操舵が出来ません。

京商が発売している「ミニ マリオカート R/C コレクション マリオ(TV036M)」には、現行モデルと初代モデルがあります。 この患者さんは2025年に発売された現行モデルです。

初代「ミニ マリオカート R/C コレクション」は、2020年に発売されています。

  • 2025年モデルでは、
    • コントローラー形状の変更
    • 本体の3段階スピード切替
    • 小さな子どもでも握りやすい送信機
    • 操作性の向上
      などが行われ、リニューアル版として発売されています。

さっそく内部を開いていきます。

  

  

開いていくと、ねじりコイルばねが正規の位置から外れていることが確認できました。治療は、このバネを戻します。

 

【治療後記】

 バネを戻して元気になりました。

 

【おまけ】

 よくぞここまで小さな車体にこれだけのものを詰め込んだと、思われるほど小さな部品があります。さすが京商と言えそうな出来栄えです。

 今回、ねじりコイルばねが外れた原因はわかりませんが、レースを遊んでいて壁に衝突などをして外れたのではないでしょうか?

 さて、この車のステアリングの仕組みはどのようになっているでしょうか?

  

ステアリングリンクには、2個の永久磁石がN,S極の向きを反対にして取り付けられています。右、左に向きを変える時は、電磁コイルに電流を流します。これにより電磁石になり永久磁石と吸着することで、ステアリングリンクが動いて向きが変わるという仕組みです。電流の流す向きを変えると逆方向になります。

 

電磁コイルの電流が切れると、磁力がなくなり永久磁石との吸着は無くなります。するとねじりコイルばねの力と走行していれば直進安定性から、ステアリングリンクは中央の位置に戻るという仕組みです。

 もっと大きなラジコンカーの場合は、この電磁コイルや永久磁石の代わりにモータを使用します。

 

 分解するときの注意点があります。

・電磁コイルのポリウレタン銅線は細く、基板の半田づけ部からコイル状に巻いてある場所まで4cmほどあります。不用意に分解すると切ってしまいますので注意してください。

・電磁コイルがもし、外れてしまった場合は戻す際に向きを間違うと、コントローラの左右と車の動く方向が反転します。

・また、ステアリングリンクには永久磁石が組み込まれていますので、ステアリング部を組み立てる際には非磁性体のピンセットを使用した方が作業性は上がります。

 

食玩トーマスご一行様が来院しました。

【申告】
 父親が遊んだトーマスシリーズの機関車です。連結部が破損して連結できません。

【診察】

 2000年代初頭のBANDAIから発売された食玩と言われるおもちゃです。 赤い機関車のようにピンと手前の黒い貨車の円形部で連結する仕組みです。 黄色の機関車のように本来ピンが立っている個所が折れてしまっています。

 

 今回は、整形手術です。

治療方針は、車両に合わせて3Dプリンタで連結器のベースを印刷し、ピンはABSのΦ2mmの丸棒を挿入することにします。車両にはねじ止めします。

 まずは、残っている連結部を削除して、新たに連結部を結合します。

  

  

         

  

  

  

SALTYの連結部はABS材で厚みもありましたので、そのままピンを通す穴をあけピンを取り付けました。

 

【治療後記】

 元気に退院です。

 

【おまけ】

 食玩(しょくがん)とは、「食品玩具」の略で、お菓子や清涼飲料水などの食品にオマケ(玩具やフィギュア、カードなど)が付いた商品のことです。法律や流通の区分上、あくまで「お菓子(食品)」として販売されています。そのため、中身の大部分が精密なプラモデルやフィギュアであっても、小さなガムやラムネが1個同梱されています。これにより玩具店だけでなくスーパーの菓子売り場に並べることができるため、おもちゃメーカは幅広い層へアプローチできるメリットがあります。

 

パウ・パトロール マーシャル ファイヤートラック が来院しました。

【申告】

 プロポを操作しても動きません。

【診察】

 2020年6月タカラトミーから発売されているラジコンです。

  ・ボタン2つで前進

  ・バックターン!簡単操作

  ・最大5台同時走行可能

  ・通信距離約25メートル

  ・はしごは手で動かせる

 などが特徴です。

  さっそく送信機を操作しましたが、赤いLEDがおよそ2秒周期で点滅しますが動きません。チェッカーで確認すると、電波は出ているようでしたが操作ボタンを押しても電波を確認できませんでした。後でわかったことですが、ペアリング中は点滅し正常にペアリングができるとLEDは点灯状態になるようです。

 

 車体の分解をしようとみると、車体はねじ止めではなく6か所の爪で勘合しています。

 この作りは、欧米のおもちゃにはよく見かけるものです。小さな子供への安全性確保と生産効率を上げるためのものです。基本的に分解することを考えない構造ですので簡単には開きません。スクレーピングナイフ4本を使ってようやく外せました。

 

 内部を開くとお決まりで受信基板とモータがありますが、中国製のラジコン基板のように受信回路のインダクターなどの受信回路部の部品が見当たりません。XP9952BPと捺印されているICにより動いているようです。

 他のICを眺めると、電池電圧4.5から3.3Vに電源電圧を下げる電源IC(LDO)とモータドライバーだけです。解析のため回路を追いかけました。

 3.3Vを出力するLDOの出力電圧を測定すると、4.2Vもあります。入力電圧をユニバーサル電源で変化させると出力も変化します。明らかに破損しています。

 モータドライバーICは4.5Vで動作させていますから問題はないのですが、3.3Vで動いていたXP9952BPが生きているかが疑問です。データシートを調べると電源の絶対定格電圧値が3.7Vと書かれています。それでもかすかな望みをかけてLDO出力電圧値を3.3Vにして水晶が発振するか?ペアリングができるか?を確認しましたが、いずれも動作を確認できませんでした。

 まとめると、制御をしているXP9952BPの電源を供給しているLDOが何らかの原因で破損して、出力電圧値が上がりXP9952BPの電源の絶対定格値を超え、XP9952BPも破損したということでしょう。そのため、ペアリングが出来ず送信機のLEDが点滅していたと考えられます。

 

【治療後記】

 残念ながら元気にしてあげることはできませんでした。ただ、XP9952BPと言う送受信機能を持つマイコンがあることが収穫でした。

 

【おまけ】

 ・XP9952BPの概要は次の通りです。

  一度だけプログラムを書き込むことができるマイクロコントローラです。

  2.4G 帯の高速無線送受信モジュールも内蔵しています。

  RF 送受信機、周波数合成器、水晶発振器、モデムなどの機能ブロックが一体となっています。

 ・送信機の回路図です。

  ICの品名は消されていましたが、ICに接続される部品の内容が受信器と同じなので同一ICと考えます。

 

 ・分解に使用したスクレーピングナイフです。Aliexpressで購入しました。

 ・今回の構造について

  もともとパウ・パトロールは、カナダで生まれた作品です。カナダの原作者兼大手玩具メーカーであるスピンマスター社(Spin Master)が中心となって設計・製造している世界共通の製品です。海外で設計・金型製造されたものをベースにしつつ、日本の仕様や法律に合わせた対応をタカラトミーでされたのだと思います。爪構造もそのためでしょう。

  ちなみに、技適マークもきっちり取っています。

  技適とは「技術基準適合証明」の略で、無線通信の混信を防ぎ、希少な電波を効率的に利用するために定められた日本の電波法に基づく制度です。Bluetooth・Wi-Fi等の無線機を国内で使うには、この技術基準への適合が求められます。