おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテ

佐渡ヶ島にある”おもちゃ病院さど”で診療しているドクターRです。私が担当した患者さんの治療記録の一部です。島内での開院予定や島外から受診をご検討の方は、”お知らせ”をご覧ください。

アンパンマン ひらいてぴょこん が来院しました。

【申告】

 ”おすぼたん”を押しても開くことが少ないです。

 ”たおすボタン”は、部品が外れて扉が開いたままで閉じません。

【診察】

 2013年にバンダイから発売された”BabyLabo アンパンマン ひらいてぴょこん”です。

アンパンマンばいきんまんドキンちゃんカレーパンマン、コキンちゃんが並んでいます。アンパンマンの赤い”おすボタン”をおしてもふたはほとんど開かず、カレーパンマンは付いていなく、ふたはセロテープで貼られ、外れたという部品がついていました。

 

 外れたとの部品を観察すると折れたと思われる跡が確認できました。内部を開けて診察開始です。

 ”おすぼたん”の動作確認からです。

 ”おすボタン”と接触するふたをあける部品側にも、いっぱい遊んだことにより摩耗の痕跡があり窪んでいます。そのため、”おすぼたん”を押してもその動作が伝わりにくくなって、ふたが開きづらい状態だったと思われます。

 そこで窪みを修正しなければなりませんが、今後のことも考えて摩耗しづらく滑りが良いリン青銅板を巻くことにしました。

 

 これで、スムーズにふたが開くようになりました。

 

 部品が折損したと思われる”たおすぼたん”の治療です。”たおすぼたん”もやはり摩耗の痕跡があり、リン青銅板で巻きねじで固定しました。

  

 次に折損した部品と相手部品との接合方法を考えます。

 折損した部品は、”たおすボタン”の動作を伝えてふたを開けるための部品の一部です。折損個所は1.5mmx8mm程度の断面積しかなく、力も加わる部分でもあり接着剤や熱溶着では厚みがなく無理です。折損部は接合と共に弾性が求められます。

 そこで、再びリン青銅板で接合と弾性を満足させることにしました。

 

 治療後の状態です。

【治療後記】

 電池を使用しないシンプルなおもちゃであるだけに、擦れ合ったり、歯車の回転だったり機構的なしくみを使っています。いっぱい遊べばそれらは摩耗したりします。でも、不具合が起きてもその部分を補ってあげれば、復活です。

 また、遊んでください。