
【申告】
充電ができなく、遊べなくなりました。
【診察】
2020年にタカラトミーから発売され、タブレットとしてもキーボード付きパソコンとしても使用できるキッズ向けパソコン玩具です。遊びと学習を両立させる設計が特徴です。
5インチ液晶、カメラ(イン、アウト)、マイク、マイクロSD対応、リチウム電池バッテリー搭載と玩具ですか?と、問いたいような仕様です。

ディスプレー部にあるUSBコネクタMINI Bが破損しています。
充電器のプラグは、破損してはいません。
リチウム電池が完全放電していなければ良いのですが。
ディスプレー部を開けていきます。

当初ねじ隠しがラバーでないため穴あけが必要かと思いましたが、指で触るとずれるので両面テープで貼付されているとわかりました。微細なドライバーで剥がしました。

ふたを開け、内部の様子を確認します。

充電コネクターを観察すると、コネクターピンを保護する部分が無くなってピンが曲がっていることがわかりました。コネクターを交換する他に治療方法はありません。

リチウム電池の電圧を測定すると0Vですが、念のため+の配線を外してから作業にかかりました。

面実装型のコネクタでした。リワークツールと低温半田を使用して、コネクタを外し交換しました。

治療はこれで終了ですが、先人のドクターのカルテからアルミ電解コンデンサのリード部のシールドにカプトンテープを貼りました。シールドでアルミ電解コンデンサが短絡する危険性があります。


シールドは、内部で発生する「電磁波ノイズ(不要な電磁波)」が外部に漏れて他の機器へ悪影響を与えるのを防ぐためです。また逆に、外部から侵入する電磁波による誤動作を防ぐ役割もあります。
ところが、見ての通りシールドがたわみアルミ電解コンデンサのリードに接しているのがわかります。シールドの構造は次のようになっています。

シールドの金属は絶縁物でサンドイッチされていますが、切り口は金属が出ています。そのためこの金属断面と接触すると短絡の危険性があるわけです。そこで、ポリミイドテープで保護をしました。

残るは、放電しているリチウム電池が充電できるかどうかですが、幸いに充電することができました。
【治療後記】
元気になって、退院できます。
【おまけ】
今回コネクタを交換するために、リワークツールと低温半田を使用しました。かなり慎重に作業する必要があります。これも場数を重ねないと腕があがりません。
一般的にリードの数が1本であれば半田こてと半田吸い取り器で処理しますが、表面実装部品でリード数が多いものは、半田を溶かす一方で半田が固まっていくため半田こてでは処理できません。
それの解決策の1つとして、熱風を複数のリードに当て同時に半田を溶かし部品を外す方法があります。それがリワークセンターなどと呼ばれます。

さらに、半田が溶けて固まるまでの時間を稼ぐために低温で溶ける半田を追加することで、作業性が上がります。
多く使われる半田は、鉛40%・錫60%(Sn60/Pb40)のもので融点範囲は183〜190℃程度です。
代表的な低温半田(Sn/58Bi)の融点は、138℃程度です。
およそ50℃違うので固まる時間を稼げるわけです。
もう1点気づいた点がありました。

交換したMINI Bコネクタと隣のイヤフォンのコネクタにポリミイドテープが貼付されています。この理由は、基板に部品を半田付けする工程ではやはり熱風で半田を溶かして部品を固定します。その際、フラックスやハンダがコネクタ内部に流れ込むと接触不良などの原因になります。テープはこれを防ぐための「マスキング材」です。本来であれば、リフロー後に剥がした方がこのテープによる不具合を防ぐためには良いのですが、おもちゃであり剥がせばコストアップになってしまうので剥がさずにあるのだと思います。